(1)「ひとり経営戦略」の全体像
「ひとり経営戦略」とは
ここまでご説明してきたように、「ひとり経営」は、自分の価値観・身の丈にあった経営を、
自分ひとりあるいは3人程度までのスタッフで運営していく経営スタイルです。
この経営スタイルならではの、効率的で成功確率を高める戦略があります。
それを、これから「ひとり経営戦略」と呼ぶことにします。
「ひとり経営戦略」は、人生のビジョンと経営戦略とを結びつけ、経営者が「今何をやるべきか」
「これから何をやっていくべきか」を明確に指し示すものです。
非合理的な成功法則ではなく、机上の空論でもありません。
地に足のついた、徹底して現実的・合理的に考えられたシステムです。
税理士やコンサルタントによる経営指導の限界と、「ひとり経営戦略」との違い
ほとんどの税理士や財務コンサルタントは、「過去の数字をもとに、これから何を改善していくか」を提案します。
現状の財務状況のどこが問題なのか、そして何を改善していくか、このような視点を持つことはとても大切なことです。
しかし、その発想には限界があります。
それは、「その改善を達成できたとしても、 “将来ありたい姿”に到達できるとは限らない」、ということです。
もう少し具体的に考えてみましょう。
例えば、「粗利率を5%改善する」という計画を立てたとします。ここでよく考えていただきたいのです。
なぜ5%なのでしょうか。
その数字の根拠は何でしょうか。優良他社と同じ水準に近づけるからでしょうか。なぜその水準を目指すのでしょうか。
粗利率改善は正しいことだとしても、本当に5%で足りるのでしょうか。
もちろん、5%改善を達成すれば、短期的には経営状態が良くなることは間違いありません。
しかし、「将来の“ありたい姿”に到達できるかどうか」と考えてみるといかがでしょうか。
十分かもしれませんし、不十分かもしれません。
経営は長く続くものです。そして、自分自身や家族の永続的な幸せを考えた場合、
「将来のありたい姿」から逆算した経営数字を決めなければなりません。
“生きた経営計画”を作る
年初に気合を入れて経営計画書を作ったものの、1ヶ月もすればホコリを被ってしまう・・・。
身に覚えのある方も多いのではないでしょうか。
それも仕方のないことです。
元々数字に根拠に乏しい経営計画であれば、その存在を忘れてしまったとしても気になりません。
それに、人は現状を維持できればある程度満足してしまうので、無理して改善しようとはしないものだからです。
しかし「自分の人生、家族の人生にとって重大な影響」がある経営計画であれば、
毎日のようにその計画について考え、達成のために努力するでしょう。
合理的な根拠がなかったり、夢や希望だけで作られたりした経営計画は、忘れ去られます。
そうならないためにも、現実的で合理的な根拠に支えられた経営計画を立てなければなりません。
それが「ひとり経営戦略」であり、それを具体的に計画していくことが「“生きた”経営計画を作る」ということです。
「ひとり経営」と、一般の経営とでは、取るべき戦略が異なる
「ひとり経営」と、普通の経営とでは、「“生きた経営計画”の作り方」が異なります。
「ひとり経営」というスタイルならではの、効率的で成功確率の高い方法論があるのです
一例をあげると、一般的には節税が推奨されますが、「ひとり経営」では節税を積極的には推奨しません。
なぜなら、節税をしても“将来のありたい姿”に近づけるとは限らないからです。
「ひとり経営」は、徹底的に“将来のありたい姿”から逆算した方法論です。
その目的のために、人生と経営の全体をシステマチックに考えています。
「ひとり経営戦略」実行手順の概略
将来のありたい姿や人生のビジョン、まずはそれを考えます。
すると、今のままの経営を続けいくと深刻な問題がある、ということに気づくでしょう。
そのような問題に陥らないためには、どの程度のお金が必要か、
そして、そのためにはどのような財務・会計戦略が必要か、明確になってきます。
また、現在投資に力を入れていない方でも、投資戦略が必要不可欠であることが分かるでしょう。
すると、どのようなマーケティングをしていかなければならないか、
どのような会社運営をしていかなければならないか、具体的な経営数字として弾き出されます。
早く着手することが重要
いざ将来の姿から逆算してみると、じつは今、あまり余裕がないのかもしれない、ということがわかります。
あまり息苦しく考えていただきたくはありませんが、対策が遅れれば遅れるほど、問題は複雑で困難なものになります。
野球で例えてみると、いま3点差で負けている状況だとしましょう。それがまだ4回の裏であれば、コツコツ1点ずつ返していければ十分です。送りバントなど、成功確率の高い戦術も使えます。しかしこれが9回の裏だったら、ホームランで一発逆転を狙ったり、盗塁したりなどの成功確率が低い戦術にチャレンジしなければなりません。
経営も同じで、早く着手すればするほど、余裕を持って“あるべき姿”に到達できるのです。
特に、ひとりで経営をされている方の中には、将来のことなどを何も対策していない
という方が少なからずいらっしゃいます。
「ひとり経営戦略」の進め方、詳しくはこれからご説明してまいります。
「ひとり経営」というスタイルならではの、効率的で成功確率の高い方法論を、
できる限り早く学び、着手していただければ私も嬉しく思います。
―「ひとり経営戦略」の進め方― コンテンツ
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- ひとり経営戦略(準備中)
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- 投資戦略(準備中)
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